2026年NISA改正、今の自分に関係あるのはどれ?4月にすべき行動を整理した
「今年のNISA改正、なんか変わったらしいけど自分は何かしないといけないの?」
正直、僕も最初はそう思った。
過去に株やソーシャルレンディングで数百万円規模の損失を出して、今はS&P500一本の積立投資に落ち着いた身としては、制度が変わるたびにソワソワする気持ちはよくわかる。
だから改めて、2026年の3つの改正を「自分は今すぐ動くべきか?」という視点で整理してみた。
結論から言うと、大多数の現ユーザーが今すぐ動くべき改正は実質1つだけ。この記事を読めば、3つの改正それぞれについて「今の自分に関係あるかどうか」と「具体的に何をすればいいか」がわかるはず。
2026年NISA改正、3つの変更点をざっくりと
まず前提として、今回の改正が何を変えるのかを30秒で確認しておこう。
2025年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱では、NISAに関して大きく3つの変更が盛り込まれた。
- 非課税保有限度額の「当年中復活」 — 売却した枠が翌年ではなく当年中に戻るように変更(2026年中施行予定)
- こどもNISA(つみたて投資枠の未成年への拡大) — 0〜17歳が対象、年間60万円まで(2027年1月1日施行)
- つみたて枠の対象商品拡充 — 債券型・バランス型ファンドが新たに追加(2026年中施行予定)
制度の全容は以前の記事『2026年NISA大改正まとめ:こどもNISA・非課税枠の年内復活・対象商品拡充の全容』にまとめたので、ここでは行動プランに絞って話を進めていく。
「非課税枠が当年中に復活」——大多数の人には今すぐ関係ない
3つの改正のうち、最も誤解が広まっているのがこの「当年中復活」だ。
そもそも「復活」の仕組みはどう変わる?
現行制度では、NISA口座で保有している商品を売却すると、その元本分の非課税保有限度額が翌年1月1日に復活する仕組みになっている。
今回の改正では、この復活タイミングが売却した当年中に前倒しされる。
ここで気をつけたいのは、「枠が復活する」という表現から生まれやすい3つの誤解。FPI-J生活経済研究所の解説でも指摘されているが、以下の制限は改正後も変わらない。
- 年間投資枠360万円の上限はそのまま — その年にすでに360万円投資していれば、枠が復活しても追加投資はできない
- 復活するのは元本部分のみ — 含み益50万円が乗っていても、戻るのは購入時の元本分だけ
- 生涯枠1,800万円に達した人だけが対象 — そもそも枠が埋まっていなければ「復活」の出番がない
結局、今の自分には関係ある?
ほとんどの人にとって、現時点では関係ない。
新NISAが始まったのは2024年1月。年間投資枠の上限360万円をフルに使っても、生涯枠1,800万円に到達するのは最速で2028年末になる。
つまり2026年4月の今、この改正の恩恵を受けられる人はほぼいないということになる。
では、この改正が意味を持つのはいつから?
僕も今のペースだと数年先の話。だから焦る必要はまったくない。
ただ、将来的に1,800万円の枠を使い切ったあと、「商品を入れ替えたい」と思ったときに、翌年まで待たずに当年中に再投資できるのはありがたい。長期で積立を続けている人にとっては、数年後にじわじわ効いてくる改正だと思う。
今やるべきこと:特になし。今のペースで積立を継続するのが正解。
こどもNISA(2027年1月開始)——今から準備できる3つのこと
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「当年中復活」は多くの人にはまだ先の話だとわかったところで、3つの改正のうち今すぐ準備を始めるべきものに進もう。
子育て世代には、このこどもNISAが一番ダイレクトに関係する。
こどもNISAの基本スペックだけ確認
2025年12月26日閣議決定の税制改正大綱に基づく制度概要は以下のとおり。
- 対象年齢: 0〜17歳
- 年間投資枠: 60万円(月5万円ペース)
- 非課税保有限度額: 600万円(生涯)
- 非課税保有期間: 無期限
- 投資対象: つみたて投資枠と同等の投資信託(個別株は不可)
- 払い出し制限: 12歳未満は原則不可、12歳以降は子の同意があれば可能
- 施行日: 2027年1月1日
旧ジュニアNISAは18歳まで払い出せないという制限が利用低迷の一因だった。野村総合研究所の木内登英氏(2025年12月15日)もジュニアNISAの課題(原則18歳まで払い出し不可など)を踏まえた制度改善として評価している。
今から準備できる3つのアクション
開始は2027年1月だが、今から動いておくと余裕を持ってスタートできる。
- 子名義の証券口座を確認する — SBI証券・楽天証券などで未成年口座の開設フローを確認しておこう。2027年1月は口座開設の申し込みが集中する可能性が高い
- 年間の積立額をシミュレーションする — 月5万円×12ヶ月=60万円が上限。家計から無理なく捻出できる金額を考えておく
- 贈与の金額を整理する — 親や祖父母がこどもNISAに拠出する場合、その分は子への贈与とみなされる。他の贈与と合わせて年間110万円の基礎控除を超えないか確認が必要
知っておきたい2つの落とし穴
こどもNISAにはメリットだけでなく、見落としやすい注意点もある。
1. 600万円は成人後の生涯枠を圧迫する
こどもNISAで積み立てた600万円は、子が18歳になって成人NISAに移行した際、生涯非課税限度額1,800万円に含まれる。つまり、親が子のために満額積み立てた場合、子が成人後に使える残りの枠は1,200万円になる。
専門家の間でも「子どものころに積み立てた分が成人後の非課税枠を圧迫する点を理解した上で活用すべき」と指摘されている。
2. 贈与税の申告漏れリスク
こどもNISAへの60万円に加えて、祖父母からのお年玉や教育費の贈与が重なると、年間110万円の基礎控除を超える場合がある。その場合は贈与税の申告が必要になるので注意しよう。
こどもNISAは長期投資の複利効果を最大化できる制度だけど、生涯枠の圧迫というデメリットを理解した上で判断することが大切。子育て世代の方は、まず口座開設の手続きと贈与税の上限を確認するところから始めてみてほしい。
制度の詳細は以前の記事『2027年開始「こどもNISA」完全ガイド — 0歳から始める非課税投資のすべて』でも解説しているので、あわせて参考にしてほしい。
つみたて枠の対象商品が増える——でも積立設定は変えなくていい
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子育て世代向けの準備が見えたところで、3つ目の改正も確認しておこう。ただし、これはシンプルに整理できる。
何が変わるか(30秒で理解)
つみたて投資枠の対象となる投資信託の要件が緩和される。
- 現行: 主に株式に投資するもの(株式比率50%超)
- 改正後: 主に株式または公社債に投資するもの(株式または債券比率50%超)
これにより、債券中心のファンドやバランス型ファンドが新たにつみたて枠の対象になる。
金融庁の税制改正要望(2025年8月)では「リスク許容度が高くない若年層や高齢層が投資の第一歩を踏み出せるよう、選択肢の充実を図る」と説明されている。
なお、定期売却サービスに限り売買手数料の徴収が可能になる改正も含まれているが、通常の積立投資には関係ない。定期売却サービスを利用する人のみが対象なので、毎月コツコツ積み立てている人は気にしなくて大丈夫。
インデックス積立中の人への影響はほぼゼロ
全世界株やS&P500のインデックスファンドを積み立てている人にとって、この改正で今の設定を変える必要はない。新しいファンドが選択肢に加わるだけで、既存のファンドのルールが変わるわけではないから。
個人的には、インデックス一本でシンプルに続けているスタイルにとって、この改正は何かを変える理由にはならないと思っている。制度が変わっても、長期・積立・分散という投資の原則は変わらない。
今やるべきこと:特になし。今の積立設定をそのまま継続。
「改正は良いことずくめ」ではない——冷静に見ておくべき論点
3つの改正を一通り整理したが、手放しに喜ぶ前に批判的な視点も確認しておきたい。数百万円の損失を経験してきた僕としては、制度の恩恵を活用しつつも、リスクや課題を直視することが大切だと思っている。
- 「当年中復活」は真のスイッチングではない — iDeCoのように保有商品を自由に入れ替えられる仕組みとは全く異なる。年間360万円の上限は変わらず、大幅な商品入れ替えには何年もかかる(FPI-J生活経済研究所の指摘)
- こどもNISAの「子のため」が、成人後の選択肢を狭める逆説 — 親が600万円を満額積み立てると、子が成人後に使える生涯枠は1,200万円に減る。「子の将来のため」が本当に最善かは、家庭ごとに判断が必要
- 全体として「マイナーアップデート」との評価も — 大和ネクスト銀行のコラムでは、今回の改正を「マイナーアップデート」と位置づけている。根本的な投資自由度の向上ではないという見方もある
- 資産に余裕がある家庭ほど恩恵が大きい — 野村総合研究所のコラムでも触れられているが、子のNISA口座への積立も含め、資金力がある家庭が有利な構造であることは否定できない
とはいえ、課題があるからといって制度を使わない理由にはならない。制度の限界を理解した上で、自分のフェーズに合った使い方をするのが賢い活用法だと思う。
まとめ:4月の今、自分のフェーズ別にやることを確認しよう
批判的な視点も踏まえた上で、最後に今日から動けるアクションを整理しておく。
今回の記事で伝えたかったのは、「3つの改正のうち、今の自分に関係するものはどれかを正しく仕分けすることが大事」ということ。全部に反応する必要はないし、焦って何かを変える必要もない。
全員共通
- 今の積立設定を急いで変える必要はない。「積立を継続する」が最も重要なベースアクション
- 対象商品が増えても、既存のインデックスファンドを積み立てている人は設定変更不要
- 「当年中復活」は生涯枠1,800万円に達してから初めて関係する話。大多数の人には数年先の改正
子育て世代(子どもが0〜17歳)
- 子名義の証券口座が未開設なら、SBI証券や楽天証券で開設フローを確認する
- 年間の贈与総額が110万円を超えないか、祖父母からの贈与も含めて整理する
- 2026年中に各証券会社のこどもNISA対応情報をチェックする(SBI証券のこどもNISA解説ページなども参考に)
- こどもNISAの600万円が成人後の生涯枠に含まれる点を理解した上で、積立額を決める
生涯枠1,800万円に近い人(積立上級者)
- 「当年中復活」の施行時期(2026年中、法案成立後に確定)を定期的に確認する
- 売却→再投資の判断は施行が確定してから検討する。焦って売却する必要はない
- 楽天証券・SBI証券など利用中の証券会社の施行対応情報をウォッチしておく
制度を知っているだけでは何も変わらない。自分が今どのフェーズにいるかを確認して、必要なアクションだけを取る。それが2026年のNISA戦略でいちばん大事なことだと思う。
NISAの制度全体を改めて確認したい方は、以前の記事『2026年NISA大改正まとめ:こどもNISA・非課税枠の年内復活・対象商品拡充の全容』や『新NISA、2026年に大改革。こどもNISA解禁で家族の資産形成が変わる』もあわせて参考にしてほしい。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入を推奨するものではありません。投資の判断は自己責任のもと、必要に応じて専門家に相談の上で行ってください。