金価格5,000ドル突破 — 有事の金、個人投資家はどう買えばいい?
「金が最高値を更新し続けている。でも今から買っても遅いのでは?」
「そもそも金ってどうやって買うの?」
こんな疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
2026年に入り、金価格は1トロイオンス5,000ドルを突破しました。国内価格でも1グラム23,000円台に達しています。中東情勢の緊迫化、インフレ懸念、各国中央銀行の大量購入が価格を押し上げています。
本記事では、金投資の基本から、初心者がすぐに始められる4つの買い方、そして避けるべき3つの罠まで、具体的に解説します。
なぜ今、金が注目されているのか
まず、金価格がここまで上昇している背景を整理しましょう。
中東情勢と「有事の金」
2026年3月、米国のイラン攻撃をきっかけに中東情勢が一気に緊迫化しました。ホルムズ海峡の封鎖により原油価格が急騰し、世界経済の先行きに不透明感が広がっています。
「有事の金」という言葉があるように、地政学リスクが高まると投資家は株式や債券から安全資産である金に資金を移します。リーマンショック、コロナショックのときも同じ動きが起きました。
中央銀行の「爆買い」
J.P.モルガンの分析によれば、2026年の各国中央銀行による金購入量は年間約750〜760トンに達する見通しです。これは2022年以前の10年間の平均(約450トン)の約1.7倍。中国、インド、トルコなどの新興国が、ドル依存を減らすために金の保有を増やしています。
専門家の価格予測
主要金融機関の2026年末の金価格予測は以下の通りです。
- J.P.モルガン: 5,055ドル/オンス
- ゴールドマン・サックス: 5,400ドル/オンス
- 一部のアナリストは6,000ドル超も視野に
ただし、これはあくまで予測です。3月下旬には中東の戦費調達のための換金売りで4,300ドル台まで下落する局面もありました。金も短期的には大きく変動するのです。
個人投資家が金を買う4つの方法
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金が注目されている背景がわかったところで、では具体的にどうやって買えばいいのでしょうか。個人投資家が利用できる主な方法は4つあります。
方法1: 金ETF — 最もコスパが良い選択肢
**金ETF(上場投資信託)**は、株式と同じように証券口座で売買できる金の投資商品です。最もおすすめの買い方です。
主な金ETF(2026年3月時点)
- GLDM(SPDRゴールド・ミニ): 信託報酬0.10%。米国ETFで最安。長期保有に最適
- 314A(iシェアーズ ゴールドETF): 信託報酬0.22%。国内上場で売買しやすい。純資産900億円超
- 1540(純金上場信託「金の果実」): 信託報酬0.44%。1,000口以上で金の現物と交換可能
始め方: SBI証券や楽天証券の口座を開設し、成長投資枠(新NISA対応)で購入するだけです。GLDMなら数千円から始められます。
メリット: 手数料が安い、リアルタイム売買可能、新NISA対応
デメリット: 金の現物を手にすることはできない(1540は例外)
方法2: 純金積立 — 月1,000円からコツコツ
毎月一定額を自動で積み立てる方法です。ドルコスト平均法で価格変動リスクを抑えられます。
主な証券会社の手数料
- 楽天証券: 買付手数料1.65%、売却手数料無料。楽天カード決済で0.5%ポイント還元(実質1.15%)
- SBI証券: 買付手数料1.65%、売却手数料無料。特定保管対応で資産保全に強い
どちらも月1,000円から始められます。
始め方: 楽天証券またはSBI証券の口座を開設し、「金・プラチナ取引」から積立設定するだけ。設定すれば毎月自動で買い付けてくれます。
メリット: 少額から始められる、自動で続けられる、タイミングを気にしなくてよい
デメリット: 買付手数料が1.65%と比較的高い。ETFの方がコストは安い
方法3: 金の投資信託 — NISAのつみたて投資枠を活用
金ETFは新NISAの「成長投資枠」で買えますが、「つみたて投資枠」では原則買えません。つみたて投資枠を使いたいなら、金の投資信託が選択肢になります。
金価格に連動する投資信託を購入すれば、実質的にNISAで金に投資したことになります。
始め方: 証券口座の投信検索で「ゴールド」「金」で検索し、新NISAつみたて投資枠対応のものを選ぶだけです。
方法4: 現物(金地金・金貨)— 究極の安全資産
金のバー(インゴット)や金貨を実際に購入する方法です。
田中貴金属や三菱マテリアルの店舗、または百貨店などで購入できます。実物を手元に置ける安心感が最大のメリットです。
ただし、注意点も多くあります。
- 500g未満の購入にはバーチャージ(加工手数料)がかかる
- 売買のスプレッド(買値と売値の差)が大きい
- 自宅保管には盗難リスク、貸金庫なら保管料が必要
向いている人: ある程度まとまった資金があり、長期保有を前提にする人
金投資で避けるべき「3つの罠」
ここまで4つの買い方を紹介してきましたが、金投資には特有の注意点があります。初心者が陥りやすい3つの罠を押さえておきましょう。
罠1: 「有事だから今すぐ全額買い」
中東情勢のニュースを見て「今すぐ金を買わないと!」と焦るのは危険です。
有事の後に買うと、高値掴みになりやすいのです。実際、2026年3月には5,400ドルから4,300ドルへ約20%下落する局面がありました。
対策は時間分散です。一括で買うのではなく、数ヶ月に分けて少しずつ買いましょう。純金積立やETFの定期買付なら、自動で分散購入ができます。
罠2: ポートフォリオの金比率を上げすぎる
金は「資産を増やす爆薬」ではなく、**「資産を守る保険」**です。
1971年から2024年のデータでは、株式の年平均リターンは10.7%に対し、金は7.9%。金はインカム(利息・配当)を生みません。
専門家の推奨は、**ポートフォリオの5〜10%**を金に配分することです。全財産を金にするのはおすすめできません。
罠3: 税金を知らずに売る
金を売却して利益が出た場合、譲渡所得として課税されます。
- 年間50万円以下の利益: 特別控除の範囲内で非課税
- 5年超の保有: 長期譲渡所得として税負担が半分に
金ETFをNISA口座で購入すれば、売却益は非課税になります。これが金投資にNISAを活用するべき最大の理由です。
結局、初心者はどれから始めるべきか
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4つの方法を紹介しましたが、最初の一歩としておすすめなのは次の2つです。
コスト重視なら → 金ETF(GLDM or 314A) 信託報酬が安く、新NISAの成長投資枠で非課税運用ができます。数千円から購入可能で、いつでも売買できる流動性も魅力です。
手軽さ重視なら → 純金積立(楽天証券 or SBI証券) 月1,000円から自動積立。一度設定すれば放置でOKです。楽天証券ならカード決済でポイントも貯まります。
いずれの方法でも、ポートフォリオ全体の5〜10%を目安に、時間をかけて少しずつ増やしていくのが賢い始め方です。
まとめ — 「有事の前から」少しずつ持つのが正解
本記事のポイントをまとめます。
- 金価格は史上最高値圏: 中東有事・中央銀行の大量購入・インフレ懸念が背景。2026年末に5,000ドル超の予測
- 4つの買い方: 金ETF(コスパ最強)、純金積立(月1,000円から)、金投資信託(NISAつみたて枠対応)、現物(究極の安心感)
- 初心者には金ETF or 純金積立: GLDM・314Aは信託報酬0.1〜0.2%。楽天証券・SBI証券で始められる
- 3つの罠を避ける: 一括買いしない、金比率は5-10%、税金を意識する
- NISAを活用: 成長投資枠でETFを買えば売却益は非課税
今日からできるアクション
- SBI証券か楽天証券の口座を持っていなければ口座開設する(無料、最短翌日)
- 金ETF(314A or GLDM)を1口だけ試しに買ってみる
- 慣れたら毎月の積立設定で自動化する
「有事になってから金を買う」のでは遅いのです。平時から少しずつ持つことで、いざというときにポートフォリオ全体の衝撃を和らげる。それが金投資の本来の役割です。