新NISA、2026年に大改革。こどもNISA解禁で家族の資産形成が変わる

2800万口座突破のNISAが、さらに進化する

2025年末、NISAの口座数が2,800万を突破しました。 日本人の約5人に1人が使っている計算です。

そのNISAに、大きな変化が訪れます。

2025年12月19日、与党が公表した2026年度税制改正大綱。 ここにNISAに関する3つの重要な改正が盛り込まれました。

  • こどもNISAの新設(0歳からつみたて投資が可能に)
  • 対象商品の拡充(債券ファンドも対象に)
  • 非課税保有限度額の当年中復活(商品の入れ替えがしやすく)

「自分には関係ない」と思った方も、ちょっと待ってください。 お子さんがいる方はもちろん、投資を始めたばかりの方にも影響があります。

この記事では、3つの改正ポイントを具体的なアクション付きで解説します。


こどもNISA、0歳から投資デビューの時代へ

新聞の上に置かれたピンクの貯金箱 Photo by Roman Synkevych on Unsplash

3つの改正のうち、最大の目玉はやはり「こどもNISA」です。

正式には、つみたて投資枠の対象年齢を18歳未満にも広げる改正です。 これにより0歳の赤ちゃんでもNISA口座を持てるようになります。

こどもNISAの基本スペック

  • 年間投資上限:60万円(月5万円ペース)
  • 非課税保有限度額:600万円(成人NISAの1/3)
  • 使える枠:つみたて投資枠のみ(成長投資枠は不可)
  • 開始時期:2027年1月1日(システム改修のため)
  • 口座名義:子供本人(親権者が代理で管理)

「あれ、昔ジュニアNISAってなかったっけ?」

そう思った方、鋭いです。 2023年末に廃止されたジュニアNISAとの最大の違いは引き出し条件です。

旧ジュニアNISAは原則18歳まで引き出し不可でした。 この制約がネックとなり、一部調査では利用率は15%程度とも言われています。 「必要なときにお金が使えない」と敬遠されたのです。

新しいこどもNISAでは引き出し条件が緩和されました。

  • 12歳未満:原則引き出し不可
  • 12歳以降:入学金・教育費の支払いで、子供本人の同意があれば引き出し可能

子供が大学に入学するタイミングで使えるのは、大きな安心材料です。

贈与税については、年間60万円は暦年贈与の非課税枠110万円の範囲内です。 他の贈与と合算して110万円以内なら、原則として贈与税はかかりません。

そして子供が18歳になると、年間投資枠は成人と同じ360万円に。 非課税保有限度額も1,800万円に拡大します。


児童手当をこどもNISAに回すとどうなる?

こどもNISAの仕組みがわかったところで、次は「実際にいくら増えるのか」を見てみましょう。

最も現実的な原資は児童手当です。

2024年10月の制度拡充で、児童手当は0歳から高校生まで支給されるようになりました。 支給額は月1万円〜3万円(第3子以降は3万円)。

仮に月1万円をこどもNISAで18年間つみたてた場合を試算します。

月1万円 × 18年間の積立シミュレーション

  • 年利3%の場合:約285万円(元本216万円+運用益69万円)
  • 年利5%の場合:約349万円(元本216万円+運用益133万円)

月1.5万円なら、年利5%で約524万円。 国立大学4年間の学費(約250万円)を十分カバーできる金額です。

私立大学でも、4年間の学費は約400万円。 月2万円のつみたてなら年利5%で約698万円になります。

始め方は3ステップ

  • ステップ1:証券会社で子供名義の口座を開設する(2027年1月以降受付開始予定)
  • ステップ2:つみたて投資枠で投資信託を選ぶ(eMAXIS Slimシリーズなど低コストインデックスファンドが定番)
  • ステップ3:児童手当の入金日に合わせて自動積立を設定する

ポイントは「仕組み化」です。 一度設定すれば、あとは自動で積み立てが続きます。


「スイッチング解禁」は誤解。正しく理解しよう

児童手当の活用法がイメージできたところで、2つ目の改正ポイントに移ります。 SNSやメディアで「NISAでスイッチングが可能になる」と話題になりました。

結論から言うと、これは誤解を含んでいます

正確には「非課税保有限度額(1,800万円)の復活タイミングが早まる」という改正です。 翌年1月だった復活時期が、当年中に前倒しされます。

何が変わるのか?

現行ルールでは、NISA口座で商品を売却した場合、非課税枠の復活は翌年1月1日です。 改正後は、売却したその年のうちに枠が復活します。

何が変わらないのか?

ここが大事です。

  • 年間投資枠(つみたて120万円+成長240万円=360万円)は不変
  • 復活するのは簿価(買った時の金額)のみ。運用益分は枠に戻らない

つまり、iDeCoのように「売却と同時に別の商品を買う」真のスイッチングとは違います。

具体例で考えてみましょう

仮に1,800万円分を投資し、時価が3,000万円になったとします。 全部売却しても復活する枠は簿価の1,800万円だけ。 しかも年間360万円の投資枠制限があるので、全額買い戻すには5年かかります

さらに、売買のたびに信託財産留保額などのコストも発生します。

この改正の恩恵を受けるのは誰?

非課税保有限度額1,800万円を使い切った人が中心です。 新NISAが始まったのは2024年1月。 毎年360万円を投資し続けても、枠を使い切るのは2028年末。 つまり恩恵があるのは最速でも2029年以降です。

焦る必要はまったくありません。


債券ファンドもOKに。投資の選択肢が広がる

スイッチングの誤解が解けたところで、3つ目の改正ポイントを見ていきましょう。 つみたて投資枠の対象商品が拡充されます。

主な変更点

  • 債券比率が50%を超える投資信託もつみたて枠の対象に
  • 指定指数に読売株価指数JPXプライム150が追加
  • 毎月分配型投信の追加は見送り(「プラチナNISA」構想は継続審議)

これまでつみたて枠の対象は「株式を50%超含む投資信託」に限られていました。 「株式の値動きが怖い」という理由でNISAを避けていた方には朗報です。 債券中心のファンドが選べるようになります。

特に退職を控えた50〜60代や、投資初心者にとってはハードルが下がります。

日銀の利上げで国内債券の利回りも改善傾向にあります。 「リスクを抑えつつ非課税メリットを活かしたい」 そんなニーズに応える改正と言えるでしょう。

ただし、債券投信はインフレ率を下回るリターンになるリスクもあります。 長期で資産を増やしたい場合は、株式投信との組み合わせが基本です。


知っておきたい課題と批判的な声

ここまで改正のメリットを見てきましたが、課題も押さえておきましょう。

1. 資産格差の固定化

こどもNISAを最大限活用できるのは、余裕資金のある世帯です。 年間60万円を子供全員分拠出できるのは、高所得世帯が中心。 「子供の時点で資産に差がつく」との批判があります。

政府はミニマムタックスの強化で対応する方針です。 特別控除額を3.3億円から1.65億円に引き下げ、税率も22.5%から30%へ引き上げます。 これにより課税対象の所得下限は約9.9億円から約3.3億円に下がりますが、対象者は約2,000人規模にとどまる見込みです。

2. ジュニアNISAの二の舞リスク

前身のジュニアNISAは利用率15%で廃止されました。 引き出し制限は緩和されましたが、投資資金が「親・祖父母の贈与頼み」という構造は変わりません。 金融リテラシーの格差が利用率に直結する可能性があります。

3. 金融所得増税への布石?

「非課税枠を整備した上で、枠外の金融所得を増税するのでは」との見方もあります。 現時点で具体的な動きはありませんが、注視しておく必要があるでしょう。

こうした課題は認識しつつも、非課税で長期投資ができる制度自体の価値は大きいです。 制度を「使う・使わない」の判断は、課題を理解した上で行いましょう。


2026年中にやるべき3つのこと

スマートフォンで株価チャートを分析する手元 Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

課題を踏まえた上で、「それでも活用する価値がある」と判断した方へ。 2026年中にやっておきたい準備を3つ紹介します。

1. まだNISA口座を持っていない人は、まず開設する

口座開設は無料で、維持費もかかりません。 人気の証券会社はSBI証券と楽天証券。 どちらもネットで申し込みが完結し、最短翌営業日に開設できます。

  • SBI証券(https://www.sbisec.co.jp/):取扱商品数が業界最多級。Vポイントが貯まる
  • 楽天証券(https://www.rakuten-sec.co.jp/):楽天ポイントで投資可能。楽天経済圏ユーザーに有利

2. こどもNISAに備えて情報収集しておく

こどもNISAの口座開設受付は2027年1月以降の予定です。 2026年中にできることは以下の通りです。

  • 子供のマイナンバーカードを取得しておく(口座開設に必要)
  • 家計を見直し、月いくら投資に回せるか試算する
  • どの証券会社で口座を開くか比較検討する

3. 教育資金贈与特例の終了に注意

教育資金の一括贈与非課税特例(最大1,500万円)は2026年3月31日で終了します。 残りわずか1週間です。 祖父母からの教育資金贈与を検討している方は、今すぐ金融機関で契約手続きを進めてください。

こどもNISA開始が2027年1月なので、2026年4月〜12月は「制度の空白期間」になります。 この期間の資金計画も事前に考えておくと安心です。


まとめ:焦らず、でも今から準備を

2026年度のNISA改革をまとめます。

  • こどもNISA:0歳からつみたて投資枠が使える。年間60万円、総額600万円。2027年1月開始
  • 対象商品拡充:債券ファンドも対象に。投資初心者のハードルが下がる
  • 枠の当年中復活:商品の入れ替えがしやすくなるが、焦る必要はない

こどもNISAの開始は2027年1月。 焦る必要はありません。

でも、準備は今から始められます。

口座を開設する、家計を見直す、家族で資産形成について話し合う。 小さな一歩が、10年後・20年後の大きな差になります。

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